芸術の山

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【スペクタクル社会のなかの〈国際展〉】

 ギィ・ドゥボールによる奇書、『スペクタクルの社会』を引くまでもなく、資本主義体制による社会のスペクタクル化は、なお継続して進行中である。これに抗おうとする芸術家たちは多くの場合、たとえばミニマリズムのような造形的に洗練された形式を拒否することで、その抵抗の意志を示そうとする。いっぽう、いまや欧米以外の各地でも開かれるようになった〈国際展〉は、その種の作品に積極的に展示場所を提供するだろう。そうしなければ欧米支配による旧来の国際展との差別化が図れないし、なにより、その開催地で〈民主化〉が完遂されたことの証明として行われるそれら〈国際展〉は、その成り立ちからいっても〈民主的〉であることが明瞭な作品を展示するほかないからだ。その結果、かつてのアジ・ビラを思い起こさせるテキストの直截なプリント・アウト、日用品、廃品などをむやみやたらと──正確にはそう見えるように──配したインスタレーション作品が、毎年世界のどこかで話題を呼ぶことになる。
 だがこれらを作り、好んで展示する者たちはまた、よく忘れてしまってもいる。〈スペクタクルの社会〉では、反スペクタクルを目指すその種の振る舞いまでもが、まさにスペクタクルとして消費されるだろう。いかにも粗野なそれらの作品は、この者たちが忌避して止まない西欧的な〈高級芸術〉の皿に香る、格好の〈野趣〉なのだ。
 だからその種の作品は、〈高級芸術〉の地位を一時的に揺るがせはするだろうが、最終的にはむしろその地位を強化することになるだろう。ドゥボールがいった、あらゆるものがスペクタクルとして消費され、そのいっぽうでほんとうに問題にすべきことがらが隠蔽される危険というのは、まさにそういうことである。(林卓行)

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